シリーズ『応援してます!』Vol.1。モトクラシーが理念や活動に共感し、影ながら応援をするコラム。第1回は大雪山国立公園の活用と環境保全を考え続けている「山守隊」について。
モトクラシースタッフが、頑張っている人や、活動理念に共感してしまい、勝手に応援したくなった人や団体を、これまた勝手ながら紹介(許可は得ていますよ)してしまう連載企画。その名も「応援してます!」。小学生でも理解できるタイトルで恐縮です。
第1回目は、大雪山国立公園の登山道整備活動を地道に着実に行っている「一般社団法人 大雪山・山守隊」さんをご紹介。会の活動もさることながら、関係者の人柄にも惚れてしまっているモトクラシーなのです。
大雪山国立公園が日本最大の国立公園であるということを、山の関係者はもちろん知っています。しかし、大雪の麓に暮らしている一般市民がそのことを知っているかというと「?」です。ただ、旭岳をはじめとする大雪山連峰の姿は、地元民なら誰もが愛着を持っているということは紛れもない事実です。また、無意識かも知れませんが、農業をはじめとする様々なシーンで、大雪山国立公園の恩恵を得ながら暮らしている地域であることは言うまでもありません。
山の素晴らしさを実感する最も分かりやすい手段が「登山」であり、百聞は一見に如かずなのですが、語るまでもなく多くの登山愛好家・観光客が一年を通して大雪山国立公園を訪れています。昨今、訪日外国人旅行者の増加を追い風として、ますます地域資源として大雪山国立公園を活用していこうという動きも加速しています。
しかし、その一方で登山客が歩く「道」の荒廃が進んでいることをご存知でしょうか?登山道の荒廃は、ただ歩く道がなくなっていくという問題ではありません。整備がされていない登山道は主に「水」の力によって様々な浸食が起こり、結果として土や植物といった貴重な自然環境が破壊されているのです。
この問題の存在を私たちに教えてくれたのが、山守隊の代表、岡崎さんです。とあるセミナーでご縁をいただき、以来ボランティア活動にお声がけいただいたり、今後のツーリズム業界との関係性について相談させていただいたりしています。
山守隊とモトクラシーにはもう1人ご縁の深い方がいらっしゃいます。スタッフの下條さんとはモトクラシーが始まった2015年からのお付き合いです。当時、下條さんは東川町にあるアウトドアショップの店長さんをされていて、一緒に体験型ツアーの企画を創らせていただきました。もの凄く協力的で、とってもポジティブな方だなという印象は、今でも変わりありません。まさかその後、山の道を守る人になるとは思いもしなかったのですが、出会った当時よりも活き活きとされているなと感じているこの頃です。
山の現状、山の道を守る活動の詳細につきましては、とってもこのコラムで書ききれるものではありません。会のHPを入り口に、是非とも山守隊のボランティア活動にご参加くださいませ。最近のうれしい悩みと岡崎さんは仰っていましたが、ボランティアイベントはあっという間に募集定員に達してしまうそうです。今後の課題はより効率的な活動ができる組織・システムづくりと、人材育成にあるとも岡崎さんは言っています。いずれにしても現場に行かなければ分からないことだらけですので、まずはご参加の機会を探してみてください。モトクラシーを入り口にしていただいても構いません。責任をもって岡崎さんや下條さんをご紹介いたします。
岡崎さん曰く、山守隊の活動は「楽しく、きつく、汚く、危険」の3K作業。私は2018年夏のボランティアイベント【たまには山へ恩返し】で「土砂運搬隊」に配属させていただき、その意味の一端を知る機会をいただきました。ひたすらに土砂を運搬する単純作業。最初は笑顔で参加していましたが、後半かなり笑えなくなったことを覚えています。
それでも作業終了後の整備された道を見たときは、微力ながらの達成感と、ほんの少しだけれど恩返しできたかなという山へのより一層の愛着を感じました。他の参加者さんと心がつながったような気もいたしました。このイベントの後、何度かお仕事で登山道を歩く機会があったのですが、自分が土砂を運んだ場所では思わず足を止め、自然が守られている姿を確認してしまいました。
岡崎さんとも話しているのですが『利用と環境保全は決して相反するものではない』と実感しています。山を利用する人ほど環境保全の関心も高く、次の世代に自然を残したいと考える人が多い。だからこそ、より意味のある利用の場を提供していくことが大切だと強く感じています。
繰り返しますが、利用と保全は相反しません。むしろ一度利用した自然は、責任をもって保全を続けていく必要があります。少し林業の考え方(日本の里山で起きている問題も含む)とも似ています。流行り言葉にしてはいけませんが、サスティナブル(持続可能)な活動であることが何より大切です。
地元の暮らしを伝えるモトクラシーは、時には山守隊のみなさまと一緒に汗をかき、機会を見つけては山守隊の活動を、まだ知らない人たちに伝えることで、山守隊を応援していきたいと考えています。まずはツーリズム業界のみなさま。大雪山国立公園を観光資源と捉えているのであれば、まずは実際に登山道を歩き、起きている問題を一緒に見つめましょう。その上で、できることを一緒に考えていければ幸いです。
さあ、今年も大好きな山に行きますよ!
▼こちらのコラムもおすすめ▼