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第6論 誰がサービスを「磨き上げる」のか?


結論「厳しい消費者が磨いてくれます」

 

ツーリズムの世界にいると、何度も耳にする「パワーワード」が存在することに気が付くことがあります。誰が最初に言ったのかは分かりませんが、コレを言っておけば業界人っぽい言葉が「パワーワード」です。

 

観光・旅行の業界人が大好きなパワーワードの一つが「磨き上げ」です。「磨き上げ」と名の付く補助事業は枚挙に暇がありません。ちょっとした流行語と言っても過言ではないくらいです。

 

(使用例)

地域資源の発掘と磨き上げ

観光商品の造成と磨き上げ

 

ツルツル、ピカピカになるまで、ゴシゴシと。想像すると少し笑ってしまうのですが、誰かが何かをせっせと「磨き上げ」ているのでしょうか?一体全体「誰が」「何を」「どうやって」磨き上げているのでしょうか?

 

 

上記の問いに、明確な答えを持っている観光関係者は少ないと思われます。意味や手法を正しく知らなければ、残念ながらいつまで経っても地域資源や観光商品が「磨き上げ」られることは叶いません。

 

あくまで私見であることを申し添えますが、私なりの「磨き上げ術」というものはあります。「磨き上げ」のプロセスと言い換えても良いかもしれません。

 

地域資源や観光商品を「磨き上げ」てくれるもの。それは、、、

 

 

トラブルとクレームです。

 

 

観光業は「サービス業」です。サービス業の世界において、サービスの品質向上を担ってくれるのは、いつの時代も「消費者の声」。別な表現にするならば「トラブル」「クレーム」に他なりません。

 

SNSでの誹謗中傷は2025年時点の大きな社会問題。なんでもかんでも消費者(クレーマー)の声を拾い上げる必要はないとの認識が高まっている昨今でもあります。しかし、基本的にサービス業は「お客さんの声」と向き合い、時には批判を受ける覚悟が必要な世界です。

 

トラブルなきツアーはありませんし、クレームなき情報発信もありません。ツーリズムの仕事は、「誰かに怒られる」リスクを常に内包していることを正直にお伝えしておきます。その厳しい声に必ず対応し、時には謝罪し、誠心誠意向き合う過程で、ようやく資源や商品の「磨き上げ」が成し得るのだと考えています。

 

 

怒られたことのない人。怒られたくない人には不向きな仕事です。何度怒られ、何度謝罪したことか、、、それでも、その苦い経験を経たことによって、私たちのツーリズム商品は磨き上げられ、地域の人たちとの関係性を構築できたことは間違いありません。

 

「磨き上げ」は苦難の連続。苦しみを伴わない「磨き上げ」など存在しないと思います。

 

 

最後に、あの名台詞を、「磨き上げ」事業に邁進している全ての人に贈ります。

 

「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」

 

 

 

 

【代表社員】

林 和寛(はやし かずひろ)

怒られた経験値が多くても、メンタルが強くなる訳ではありません。毎回、ちゃんと落ち込んでいます。

 

【社員からのレビュー】

小川 茉奈恵(おがわ まなえ)

色々とやらかしてきた20代前半。色々と気づけるようになってきたの20代後半。時間と根気が必要な仕事です。